Perverse second
「お前…こんな時間まで何やってんだ」



若干上がった息を気付かれないように整えながら、俺はわかり切ったことを聞いた。



「あ…津田さんと…」



「そんなこと知ってるよ」



遮るようにそう言ったのは、三崎の口から『津田さん』というワードを聞きたくなかったからだ。



「柴垣くんが聞いたんじゃない」



三崎は小さく抗議するように少しむくれた。



「こんな時間に1人じゃ危ねぇだろって言ってんだよ」



「残業してたらこんな時間ザラだよ?」



「………」



何も言い返せなくて黙った俺に、「柴垣くん、何だか父親みたい」と三崎は言ってのけた。



「そんなわけあるかっ」



親父はお前に惚れねぇだろうが。



ふいっと顔を逸らして「ほら、帰るぞっ」と歩き出すと、「あ、待ってっ」と焦りながら俺を追いかけてきたのがわかり、少しだけ歩調を緩めて三崎を待った。



「ねぇ」



「ん?」



「柴垣くんこそ、こんなところで何してたの?」



何と聞かれても、何と答えていいものか。



そういえば答えの用意はしていなかった。



「……買い物…」



「買い物?」



「…のような散歩」



「ふぅん…」



俺のあやしい答えに疑問を持っているのか、三崎は怪しみながら呟いた。
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