Perverse second
そんな思いも三崎のスマホの着信音で打ち消された。



俺が行動に移そうかとすると、いつもこの着信音が邪魔をする。



どうせ相手も……。



「津田さん…」



ほら、やっぱり。



三崎の呟きに慣れた自分に呆れてしまう。



「津田さんから。出てもいい?」



「……ああ」



俺がぽそりとそう言うと、三崎は歩を進めながスマホをスライドさせた。



「もしもし……はい、大丈夫ですよ」



俺の気持ちは全然大丈夫じゃないんだけどな。



津田さんは俺専用の危機管理センサーでも持っているんだろうか。



二人の時間がことごとく邪魔されているような気がして、心底腹が立つ。



でもまあ、そうは言っても俺がいろんなことを先送りにして、たらたらしているのが悪いわけだけど……。



横で繰り広げられている会話をなるべく耳に入れず歩を進めると、俺達はマンション前までたどり着いてしまった。



津田さんとの電話は終わりそうにない。



俺はこのまま三崎を待っていてもいいんだろうか。



マンション入口で立ち止まったまま動けずに、俺はそんなことを考えた。



「それはもちろんです。まさたか…さん……」



気にしていないつもりだったにも関わらず、三崎のこの言葉が俺の頭を鈍く揺らした。



マサタカ……それは津田さんの名前だったからだ。



どうして津田さんの事を名前で呼んでんだ……?



その疑問は、三崎の次の言葉で明らかになった。



「好きです」



そうか…………そういうことか……。
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