Perverse second
翌朝、三崎とも津田さんとも会いたくなかった俺は、いつもよりも二本早い電車に乗り込んだ。



俺の一本前には毎朝三崎が乗っていると聞いていたからだ。



こんな事で二人を避けてどうするんだ。



どのみち二人とは会うことになるし、三崎とは席も隣なのだから、逃げようがない。



こんな情けない事をしていても、何も変わらないし自分自身情けないと思う。



けど……仕方がないじゃないか。



初めて求めた女に拒絶され、挙句に目の前で上司に持ってかれたんだぞ。



二人に笑って『おめでとう』なんて言えねぇし。



いや、口が裂けても言いたくねぇ。



津田のバカヤロウ……。



悶々としながら歩く道のりはあっという間で、いつの間にか数人しかいないフロアについてしまった。



デスクに荷物を片付け、物流に今日回す予定の注文書を社内便のボックスに入れ、俺は朝に似つかわしくない溜め息をついた。



六年越しの片思いというやつは木っ端微塵に打ち砕かれ、残ったものは仕事だけ。



それにも関わらず熱意がそがれるなんて、失恋というものはなんて恐ろしいんだろうか。



席に戻り立ち上がっていくパソコンの画面をぼんやり眺めていると。



「おはよう」



俺が今一番見たくない爽やかイケメンが、にこやかにフロアに入ってきやがった……。
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