Perverse second
「三崎から何も聞いてなかったんだ?」



「津田さんとの会話聞いちゃったんで、帰りました」



「そっか……」



バツが悪そうに見える津田さんの笑顔は、照れ笑いなのだろう。



俺の能面みたいな表情しかできない俺のことなんて、もう放っておいてくれねぇかな。



「津田さんの気持ちは前から聞いてましたし、この結果も時間は必要ですけど、ちゃんと受け入れます」



「柴垣……」



こうやって牽制しなくても、こうなってしまっては俺の出る幕なんてないだろう。



三崎は昨夜、俺の目の前ではっきり言ったんだ。



津田さんが好きだって。



その言葉を聞く前までは、このままではいけない。



どんな結果になっても、想いは伝えなければ意味がない。



そう思っていたというのに、だ。



今まで何度もあったチャンスを、自分の弱さからものにできなかったんだ。



こうなってしまっても仕方がないと思うほかないだろう。



「柴垣がそんなに物分かりのいい男だとは思わなかったよ。よく分かった。こんな話の為に呼び出してごめんな。今日も一日頑張って」



急に冷ややかな表情を見せると、津田さんは話も途中で会議室を出て行こうとする。



「ちょ……津田さん。本当に話はこれだけですか?」



慌ててそう聞いた俺を一見して、「そう言っただろ」と一言呟くと、津田さんは俺を残して本当に出て行ってしまった。
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