Perverse second
週明けの月曜日。
コーヒーを飲もうと給湯室に向かうと、中から声が聞こえてきた。
「やっぱり三崎さんがいなかったから盛り上がらなかったよ」
「そんなこと。楽しかったって聞いてますよ」
どうやら中にいるのは三崎のようだ。
俺、このパターン多くないか?
「他の人はどうだか知らないけど、俺は三崎さんに来て欲しかったんだけどな」
「せっかく誘ってもらったのにすみませんでした」
「次は絶対行こうよ。雰囲気のいい店も見つけたしさ」
「予定がなければ。何かと忙しくて」
「俺との予定も入れといてよ」
「あはは」
グイグイと押される三崎は、決定的なことは言わずにこのまま流すつもりだろう。
相手もそれがわかっているから、そうはさせまいと押し切ろうとしている。
マジで腹が立つ。
このまま中の男と二人にして本当に押し切られでもしたら。
そう思って俺は敢えてふてぶてしくズカズカと給湯室に入って行った。
「三崎ー、俺もコーヒー」
「あ、はいっ」
ほっとしたような表情で俺からカップを受け取った。
チラリと男を見ると、1課の宮本とかいう先輩で、あまりいい噂を耳にしない男だ。
「宮本さんもコーヒーっすか?」
低い声でそう聞くと、
「い、いや」
宮本はそそくさと給湯室を後にした。