Perverse second
「お前さぁ」



自分の声が思いのほか冷たかったのに自分自身で驚いたけれど、優しく話す気にはなれない。



「次また誘われて予定がなかったら本当に行くつもり?」



え、と三崎はカップにお湯を注ごうとした手を止めて俺を見る。



「あ、また恥ずかしい話を聞かれちゃったね。ごめんね」



「あの人、女関係のいい噂聞かねぇよ。お前、それでもいいの?」



「よくないよ。大丈夫、行かないから」



その三崎の返事に、関係ない俺が妙に頭にきた。



「だったら何でちゃんと断らねぇんだよ」



「それは…」



「あんな言い方したら図に乗るってわかんねぇの?」



男の思考回路なんて簡単にできてんだ。



いくらでも自分に都合のいいように考えられるんだよ。



この前の俺のように。



「せっかく誘ってくれたんだし、断るにしても角が立たないように…」



「そういうのは角が立つ立たないじゃないだろ」



だから男は調子に乗るんだってわかんねぇのかよ。
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