Perverse second
「そういうのは八方美人っつーんだよ」



「なっ…」



さすがに頭にきたのか、三崎の表情が不快を顕にした。



そんな顔してもイイ女であることには変わりないんだから。



きっちり断りゃいいのに。



お前のその中途半端な思いやりのせいで、男がどれだけ惑わされるのか教えてやりてぇ。



思わせぶりな態度が、どれだけ怖いものなのか。



「相手への印象も大事かもしれないけど、お前の意思はないのかよ。言わなきゃ伝わらないし、男は言葉の意図なんて悟れねぇんだよ」



唇を噛み締めて上目遣いに睨んでくる三崎にも触れたいなんて。



完全にやられてる。



「お前って本当に男をダメにする女だな」



固まっている三崎を置いて俺は給湯室を後にした。



「あ、コーヒー忘れた」



そう思ったけれど、本当の問題はそんな小さなことじゃなかったんだ。



入社して、早いものでいつの間にか1年。



苦悩の二年目になるなんて想像もしていなかった。
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