Perverse second
俺の言葉がどう響いたかはわからない。



けれど部長や課長、津田さんなど俺を知っている人達は満足そうに頷いてくれた。



朝礼も終わり、教えて貰ったデスクに向かおうとすると。



呆然と立ち尽くしている三崎の後ろ姿を見つけた。



「…まさか…」



消え入るように呟いた三崎の背後に近寄る。



なんだよ。



そんなに俺の隣が嫌なのかよ。




「三崎、邪魔」



「ひっ!」



後ろから低めに声をかけると、三崎は慌てて飛び退き俺のデスクを空けた。



そろそろと俺を見上げてくる三崎は、三年前と変わらず綺麗な顔を引き攣らせている。



それがとても気に入らなくて、俺はぶすっと不機嫌そうに三崎を見下ろした。



「相変わらずビクビクしてやがんな」



「そっ…そんなことないよ。よろしくね柴垣くん」



差し出してきた三崎の手はとても白くて綺麗だ。



思わず両手で包み込んでしまいそうになるほどに。



「……あ、そか」



俺は敢えて三崎から視線を逸らす。



必要なものを手当たり次第に詰め込んできたデカいカバンの中に入っている紙袋を取り出すと。



出した手を引っ込めるタイミングを失って戸惑いがちになった三崎の手に、その紙袋をポンと乗せた。
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