Perverse second
どうして三崎はこうなんだろう。



そういえば面接の時に、ずっと憧れていた会社だったと言っていたのを思い出す。



憧れの会社で憧れの自分というものもあるのかもしれない。



それにしても。



気がきいていて、誰にでも優しくて、仕事も真面目で数字を出し、いつも笑顔でいる。



それがどれほど自分に負担をかけるものなのか。



正直、俺には全くわからない。



だからこそ俺に出来ることがある。



『みんなの三崎さん』という重荷を、俺が軽くしてやる。



『みんな』の自分を『自分』の自分に戻せるように。



三崎の後を追いかけた女子社員がいたけれど、それはそれで都合がいいかもしれない。



俺はさりげなく立ち上がると給湯室へとむかった。



中ではもう一人の女子社員と二人で和やかにお茶を入れている。



今から俺がこの雰囲気をぶち壊すのは申し訳ない気もするけど。



腕を組んで入口の冷蔵庫に凭れ、



「お前、まだそんな事やってんの?」



そう一言発すると、三崎はビクッとして勢いよく振り向いた。
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