Perverse second
陸に促されるままに座ると、その距離は僅か数メートル。



耳をすませば、小声で話している声さえも聞こえる距離。



これだけガン見してたら気付かれた時に言い訳できねぇ。



わかっているのに。



彼女のその明るく柔らかな微笑みの前ではどうにもならない。



美人で笑顔も可愛い女なんて他にもたくさんいるのに。



彼女の笑顔は全てが特別なような気がした。



「義人。お前、どうしたの?」



「あ?」



陸の顔を見るのも惜しくて、俺は視線をそのままに取り敢えず反応した。



「いったいどこ見て…」



きっと俺の視線を辿ったのだろう。



陸の言葉も止まってしまった。



「え…お前何見てんの?あの子、何か出てんの?ファスナーとか開いてんの?」



「バカかお前っ」



陸のあまりにも馬鹿馬鹿しい発想に、思わず視線を陸に向けて顔をしかめた。



なんてヤローだ。
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