Perverse second
週末、陸は突然大量の酒と肴を持って俺の部屋を訪問した。
「ほら、楠原ってめっちゃ俺好みじゃん?」
確かに陸は自分がフワフワしているせいか、芯の強い女に惹かれる傾向にある。
もう既に何缶目かわからないビールを開けて、俺の質問に答えだした。
「義人が大阪行って暫くして、本社だけの同期会があってさ。その時から猛烈に口説きまくったわけ」
「堕ちないだろ、楠原は。どう見てもお前はタイプじゃない」
「そうっ堕ちないんだよ。けど毎日毎日顔見りゃ告白して誘ってたんだけど」
うっわ、ストーカーかよ…。
「あの日も午前中に告白してフラれて。ランチしに行った先で今カノに告白されたんだよ。顔も綺麗だったし目力も強くてさ。楠原は無理だし、いいかなって思ってオーケーしたんだけどさ」
なんとなく先が読めてきたぞ。
「ランチ帰ってきていきなり楠原がやっぱり付き合ってくれるって言い出してさ。『30分前に言ってくれたらよかったのに。さっき彼女できちゃった』って言ったら、アイツいきなりグーパンしやがって」
「そりゃ当たり前だろ」
「それ以来、モーレツに嫌われております」
「…それはご愁傷様です。…フォローのしようもございません」
「ですよねぇ」
ケタケタと笑う陸を見ていると、全てのことが笑えば解決するんじゃないかと思うほど軽く感じる。
ま、この2人のことだ。
きっと放っておいても問題ないだろう。
楠原も陸のことを嫌ってはいるだろうが、心底嫌がってはないように見受けられたしな。