Perverse second
「すみません津田さん。できればコイツ置いといて欲しいんですけど」



理由を考えるよりも先に、ポロリと言葉が滑り落ちた。



三崎が返事をするよりも先に、まさか俺が理を入れるなんて津田さんからすれば想定外だったのだろう。



一瞬だけ眉間にシワを寄せて俺を見た。



「どうして?」



どうしてかなんて、そんなの決まってるだろう?



「今日行った得意先に厄介なバイヤーがいるんですよ。前任者がコイツなんで、ちょっと話聞きたいんで」



津田さんは少し考え込んだようだったけれど、すぐに切り替えたようで。



「…そっか…。じゃ仕方ないね。三崎さん、また。2人ともお疲れ様」



そう言って笑った。



「お疲れ様でした」



「お疲れっす」



三崎に続いてそう言ったけれど、内心は焦っていた。



ヤバいかもしれない。



「…あの…柴垣くん。…厄介なバイヤーって?」



「あ?」



「私の前得意先って…柴垣くんに渡ったんだっけ?」



そう、三崎の得意先は何も変わってはいない。



俺が彼女から引き継いだところなんて一つもないんだ。



自らの得意先を減らしてまで全員分のフォローをしている津田さんのこと。



俺が阻止したことに、きっと気付いたはず。



それは必然的に俺の気持ちにも気付いたというわけで。



……やってしまった…。
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