Perverse second

無理矢理眉間にしわを寄せて陸を睨むと、



「何がだよ」



ぶっきらぼうにそう言った。



「もしかしてお前…」



けれど陸は薄笑いしたまま顔を寄せてきて。



仕方なく俺も耳を向けると。



「……惚れたの?」



陸の言葉がやけにクリアに聞こえた。



「……は?」



「お前、あの子に惚れちゃったの?」



「………え?」



惚れ…た?



俺が…彼女に…?



「んんーー?」



完全に脳内パニックで、自分の感情がどうなっているのか全然わからない。



頭を悩ませ始めた俺に、陸は勝ち誇ったような笑顔を向けて肩をポンと叩いた。



「うんうん、義人はいいよ解らなくて」



「その言い方、すげームカつく」



「仕方ないっしょ。だって義人は『落ちない男』だからね」



「意味わかんねぇんだけど」



「落ちることを知らない男ってこと」



そんな説明されても意味がわからず、俺はさらに唸る。



まあまあ、と言いながら悟った様な笑みを漏らす陸に若干苛立ちながら。



それでも俺の目は彼女を捉え続けた。

< 7 / 193 >

この作品をシェア

pagetop