Perverse second
そんなに距離が離れている訳では無い。



けれど夜ということもあって、声のトーンを落としているのだろう。



ここまでは内容は聞こえない。



盗み聞きしたい訳じゃないし、毛頭するつもりもない。



もちろん正々堂々と間に入るつもりだ。



歩を進めた途端。



「三崎さん」



津田さんの声が聞こえ、三崎の腕を掴んだ。



街頭やマンションのライトに照らされている二人は、無言で見つめ合っているようだ。



「津田…さん?」



問いかける三崎の表情を窺い知る事は出来ないけれど、あの少し困ったような眉を寄せた表情はたまらなく可愛いんだ。



そんなの長々と見せてたまるか。



これから起こりうるであろう事柄が簡単に予測できて。



少し早歩きで近づいて行く。



明るいあちらからすれば、暗い夜道を歩く俺の姿は確認できないだろう。



津田さんはこちら側を気にする様子など微塵も出さず。



「……好きだ」



津田さんは、三崎の前で小さく。



けれど確実に気持ちを口にした。



おいおいおいっ。



マジで冗談じゃねぇんだって。



あんなに優しくて爽やかな津田さんが、そんな切なげな男の顔なんてすんなよ。



案の定、三崎は言葉を失ってしまっている。



それならそれで、何も答えるな。



拒否以外の言葉は一切口にしないでくれ。



三崎が口を開く前に俺が。



「何やってんの」



自分でも驚くほど低い声で、俺は一言そう聞いた。
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