Perverse second
扉を開いてしまったら。



部屋に一歩でも足を踏み入れてしまったら。



もう自分を抑えられないことは十分に分かっていた。



「柴垣くん?」



電気のスイッチに伸びた三崎の手を止めるため、俺は大きく踏み出した。



嫉妬ともどかしさに狂った俺の顔なんて明るい光の中で見られたくなかったから。



強引に三崎を壁に押し付け、ドンッと腕の中に閉じ込めた。



「…なに…してるの?」



「アイツと同じこと」



三崎が戸惑いがちに聞いてくる。



「中西さんはこんなに近くなかった」



「近づかれる前だったんだろ?」



中西なんかよりも近すぎる俺たちの距離。



ふわりとアルコール混じりの息がかかるが、それもまた媚香のようだ。



「お前、俺が来なかったらどうしてた?」



「え?」



意地悪な質問だと思う。



けれど中西には微塵も可能性がないということを、三崎の口から聞きたかった。



「俺が来なかったらお前はアイツについて行ってたわけ?」



「そんなわけっ……っ」



そう、聞きたかったのに。



その言葉を最後まで聞く余裕もなかった俺は、その唇を無理やり塞いだ。



言葉を発している途中だった唇は既に開かれていて、閉じさせるものかと舌を捩じ込む。



三崎の感情なんて全く無視した身勝手で最低なキス。



それでも逃げることなく容易に絡め取れた三崎の舌との水音は、俺の正気を簡単に無くしてしまった。
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