極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
でも、早く行きたくて気が逸るのに、高梨さんはいつまでも私のベッドにいてなかなか解放してくれない。


「あの、準備するので、部屋を出てください」


この寝室は当初、期間限定の同棲の間だけ私の個室にする取り決めで荷物を運び込んでいる。
だから私の衣類はすべてここにあるのだ。


「見てていい? 柚希がモタモタ迷うの面白そうだし」


「ダメ!」


絡んでくる高梨さんを散々苦労して追い出し、張り切ってクローゼットの前に立つ。

と言っても、そこに入っている衣類はわずかだ。
ここでの暮らしは短期間のつもりだったし、春物だけで十分だと思っていた。


「夏物もアパートに取りに行かないとね」


そう呟くと、ふと心に影が差す。
この生活は永遠じゃない。
いつまで彼の傍にいられるのだろう?

夏まで?
秋まで?

それとも……。


こんなに幸せなのに、どうして私は未来を見て不安の種を探してしまうのだろう?
結ばれた夜、未来に何が待ち受けようと後悔しないと誓ったじゃない。


一つ深呼吸をすると、私は小さなキャリーバッグを取り出して、数少ないワードロープを前に悩み始めた。




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