極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
木立からは虫の鳴き声と、風にそよぐ木の葉の音が聞こえてくる。


「ああ……毎日こんな暮らしならいいな」


グラスをデッキに置き、高梨さんが星空を仰いだ。


「ずっとこんな暮らしだったら、高梨さんはたぶん退屈しちゃうんじゃないですか? 戦うのも好きですよね」


「うん」


返事は短かかったけれど、彼の声には確かな響きがあった。

生まれながらの運命だけでなく、彼は勇敢な勝負師だと思う。
それも、父親とは違って他力に頼らない、地に足の着いた勝負師。


しばらくして、彼が私に尋ねた。


「柚希の育った場所はどんなところ?」


「山梨県です。あまり有名ではないんですけど、お米が美味しいんですよ」


目を閉じて、故郷の景色を思い浮かべる。


「今の季節には、冬の間に休んでいた田んぼに水が入れられて、いろんな鳥がお水を飲みにやってくるんです」


彼は黙って聞いている。


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