極甘同居~クールな御曹司に独占されました~

電話はしない。


有香と喋った時は内心そう固く決めたつもりだったけれど、その週が後半になるにつれ、私の決意は揺らぎ始めていた。


でも具合の悪いことに、アメリカとは昼夜がちょうど逆でかみ合わない。
こちらの夜は現地の朝。現地の夜はこちらの就業時間真っ只中になる。

彼の慌ただしい出勤前にこんな話題で電話するのは、どう考えても迷惑だろう。
かといって、私の就業時間中にそんな用件で電話するのも、プロ意識に欠けた社員に見えてしまう。


一日に何度もスマホと睨めっこしては思い止まっていた私はついに土曜の夜、意を決してスマホを握った。
決意というより、限界が来ていた。


今日、彼と長谷川さんが再会してしまう。
もしかしてもう既に会っているのかもしれない。

彼女の帰国と記念パーティーに合わせたアメリカ出張は、まるで彼女を迎えに行くようにすら思えた。


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