極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
腹を立てているのに切なそうな表情で、彼は喋り続ける。
初めて見る表情だった。


「視察先で見た防塵服姿の女性社員が忘れられなくなった、ただの男だ。ひたむきで真剣で、脇目も振らずに実験に没頭してた。見る度に微笑ましく頼もしく思ってた。それだけのはずなのに、気づけばこの事業所に来る回数が増えてた。俺はそんなただの男だよ」


「嘘……。私、マスクして、目しか出してなかったのに……」


「嘘じゃない。蕎麦屋で話しかけた時、振り向いた顔を見て一目でわかった」


いつかの会話が蘇る。

〝俺の目から見たら化粧してもしなくても変わらない〟
〝べつに高梨さんにどう思われようとかまいません〟
〝まあそうだろうけどな〟

私は彼になんてひどいことを言ったのだろう。

〝そいつが本当にお前を好きなら、化粧しろだなんて注文つけないだろ〟


その他にもたくさん。
小さな断片が繋がり、熱い思いになって込み上げてくる。



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