極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
それより微妙に気まずいのはお母様の方だ。
なにしろ初対面があのシチュエーションなのだから、気まずいことこの上ない。

お腹が空いた、でも外に行くのは面倒だと言い出した相談役のため私がお昼ご飯を作った時も、美味い美味いと食べてくれた相談役とは対照的に、お母様は終始静かだった。


急なリクエストに応えようにも冷蔵庫に高級食材などあるはずもなく、高菜漬とちりめんじゃこのチャーハンを作ったのだけど、やはりそれがダメだったのだろうか?

食事の最中、ずっと私はあれこれ反省点を探しては思い悩んでいた。


でも、お母様の意外な本音を聞けたのはその後だった。


「何かお手伝いはあるかしら?」


リビングからお皿を下げ、コーヒーを入れようとしている時、お母様がキッチンに入って来た。


「あ、どうぞあちらでゆっくり座っていてください」


「あの二人、仕事の話を始めてしまって、聞いていてもつまらないのよ」


それが真か口実かはわからないけれど、ついに一番気まずい相手と二人きりになってしまい、緊張が走る。


< 348 / 365 >

この作品をシェア

pagetop