極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「あらあら、色々バラしちゃったわね。ごめんなさいね」


お母様は屈託なく笑っているけれど、セレブ育ちの本性というものが分からない私は引きつり笑いを返すしかない。
でも、やっぱり高梨さんを育て上げた人は素敵な女性だった。


「柚希さん」


お母様は少し改まった様子で私に向き直った。


「末永く、則人をお願いね」


それは息子への愛情に溢れた、本当に温かな表情だった。お母様が出て行ったキッチンで、私はしばらく目をぬぐっていた。


そしてその夜、高梨さんは私を再び軽井沢に連れて行き、二度目のプロポーズをしてくれた。
彼が私の薬指にはめてくれたのは、駐輪場で失くした、あのビーズの指輪だ。
一部分テグスが切れていたので、軽井沢のお店に送って修理してもらっていた。

それは今、私の指に嵌められている。
仕事中はダイヤの指輪ではなくビーズの指輪が婚約指輪代わりだ。



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