極甘同居~クールな御曹司に独占されました~
「能ある鷹は爪を隠すってやつね。ルックスもそうよ。あのヒゲと髪をどうにかすれば、かなりいい男だと思うんだけど」


「今日、ヒゲなくなってましたよ」


「あら。それは見に行かないと」


相手が課長というのは微妙だけど、長谷川さんなら素敵な恋が待っているはずだ。


「じゃあ、またね」


「長谷川さん」


手を振って歩き始めた彼女を咄嗟に呼び止めた。
これからも彼女は私の目標の人。
そんな照れ臭い台詞は胸に収め、彼女に向かって頭を下げた。


「あの、ジュース、ごちそうさまでした」


「これからは同僚としてよろしくね」


手を振って長谷川さんは遠ざかっていく。

佐々木先輩にまつわる私の過去について、彼女はおそらく知っていたと思う。
でもお互いに、もう触れる必要はない過去だった。



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