結婚しても恋をする
「……光梨ー、わたしー……好きな人出来た……みたい。どうしよう……」
『…………不倫?』
「……何もないよ? ないけど……そこまで馬鹿じゃないと思うけど、あんまり自分のこと信用出来ないかもしれない」
お母さんには打ち明けられない。だから光梨に電話した。
僅かに沈黙が流れた後で、独り言のような調子で呟く。
『……浮気とかって、何処からがボーダーラインなんだろ』
わたしを慮っての話の流れかもしれないと感じながら、少し考えて答えた。
「……キスしたら?」
『いやいや、手を繋いだら浮気じゃない? だって、手なんか繋がないよ普通』
「……でもわたしさ……郷ちゃんがどっかの女と手繋いでても別に……平気かもって思った。今」
しかし思い描いた女の顔はぼやけて、リアリティがなかった。
『……まぁ~、こっちはそう思ってたとしても相手は違うかもしれないし……食事までかな? 絶対何もないって自信があるなら、そのくらいは行くかもしれない』
「……そうだよね。食事くらいは」
『自信があるなら、だよ』
急に食いついた勢いを感じ取ったらしく、強い語調で釘を刺された。