結婚しても恋をする
『退職を思い留まった理由は住宅ローンの審査の為なのですが、宮内課長から隣の課と相互交流を図って行く話をお聞きして、少し不安が和らいだのは確かです。』
頭の中で整理した言葉を、入力しては削除しつつ先へ進める。
『お陰様で体調は快方へ向かっていますが、また何かあればご相談させて頂くかもしれません。暖かなお心遣い、ありがとうございました。本当に、嬉しかったです。』
少々大袈裟に感謝を表した文章になってしまったが、まぁいいかと送信ボタンを押す。
メールソフトが気掛かりながら業務を再開すると、然して間を置かず返信が知らされた。
『私達管理者の仕事は、地域管理課の皆さんが働きやすい環境作りをすることだと思っています。しばらくお待ち下さい。
これからはマイホームの取得という夢が出来たのだから、早期返済に向けて頑張って下さい。お返事ありがとう。』
至極最もな、何の色気も感じられない事務的内容に目を通すと、どういうわけか突き放されたような感覚を抱いた。
……これは……わたしの気持ちが透けていて、牽制されてしまったか?
寧ろ、何とも思っていないからこの返信なのか。
脳裏を過った腹づもりに、急激に恥ずかしさが沸き起こり口元を掌で覆った。