結婚しても恋をする
先日喚き散らして以来、多少わたしへの寄り掛かりは軽減された。
ひとりで完結出来ることは、伺いを立てることなく終えてくれている。
これ以上欲しがるなんて、わたしの我儘が過ぎるのかも知れない。
「……」
思い耽っていると、今日も背中に伸し掛かる体重を感じ取った。
「……重い」
後ろの人は無言ながら、空気感から従順な犬か何かのように尻尾を振っている姿が想像されてしまった。
この人は、わたしとの間の温度差に気付かないのだろうか。
フライパンを煽っていた火を止め、立ち上る湯気を見ていた。
──話し合いが出来るなら、悩んでいなかったかも知れなかった。
いつだってわたしが一方的に激昴しているばかりで、彼は反論を飛ばすことも解決へ導くことも出来なかった。
参加して欲しかったんだ。夫婦の問題に。
出来上がった夕食を皿へ盛りながら、熱くなった目頭から想いが溢れてしまわないように、唇を噛んで堪えた。
フードで隔たれている顔は、郷ちゃんからは見えないだろう。
「出来た」
一言だけ呟くと、全く頓着せずに身支度を整える為に離れて行った。
それでも、わたしの考えを知ってもらうことが、重要ではないかと考えた。
しかし、返事が解らずに黙ってしまう様がありありと予想されて、口に出す元気はなかった。