結婚しても恋をする
早々に11月を迎え、最初の連休を前にわたしの心は多少落ち着きを取り戻し始めていた。
実家に帰り6日。家族は皆優しく、こんなわたしを責めることはせず、ただ暖かいご飯と布団を用意してくれている。
仕事についても、今年度の派遣社員の大量雇用に伴い、致し方なく指導メンバーに含まれてしまっていたが、退職を訴えると外して貰えた。
『もう良いです』
『今、処理してる最中なんですけど』
思い返しても胸を痛ませる、未成熟な彼女達の数々の大人気ない返答。
淡々とキーボートを叩く手元に視線を落としながら、小さく溜息が零れる。
それだけではない、幾つかの解決出来ない問題は、居なくなることで解決する──……
しかしお腹が痛いな。
思い耽りつつ腹部を押さえていると、唐突に左手から落ちた影を察知し、振り仰いだ。
「ちょっと、話そうや」
長身を屈ませて、わたしのデスクに手を付いている人と目が合った。
予想だにしなかった人物の登場に、睫毛を瞬き動揺を表してしまう。