結婚しても恋をする

「……あぁ……美味しかった……幸せだった……もう食べられない……」

とろけるような絶品の数々を味わい尽くし、ほろ酔いで星空の下を闊歩する。
鼻歌でも口ずさみ出しそうに上機嫌で、気付けば郷ちゃんの腕に巻き付いていた。

「郷ちゃん、ありがと。わたし、幸せ者だなぁ~」
「俺も幸せだよ?」

「ふふっ、そりゃ良かった。まぁ、ひとりきりは寂しいから。他に居ないから、こんな奴とでも一緒に居るっていうので良いよっ」

仰いだ夜空は、この都会でも存外星がよく見えた。
急に隣の人が立ち止まるので、踏み出した大股を支えきれずよろめく。
勢い付いて飛び込んだ郷ちゃんの胸元から、不思議に感じ顔を見上げた。

「……どうしたの……?」

思い掛けず真剣な瞳と視線が交わると、胸が大きく高鳴り出す。
じっと返事を待っていると、出て来た台詞に意表を突かれた。

< 70 / 89 >

この作品をシェア

pagetop