結婚しても恋をする
「俺は、灯梨と一緒に居たい」
瞬間、確実に心が熱を持ち、暫し目が離せなかった。
こんなに真っ直ぐに想いを伝えてくれた人が、他に居ただろうか。
「だから、あんまり自分のこと悪く言うのは、やめたら」
馬鹿だからいつも忘れそうになる。
ありがたみが、大切さが、わからなくなる。
だけど、あなたはわたしなんかよりずっとずっと素晴らしい。
愚かでどうしようもないわたしを、唯一無条件的に受け入れてくれる存在──
放心状態で零れ落ちてしまった涙を、冷たい指先が優しく拭う。
……ねぇ郷ちゃん。わたし、他に好きな人が居るんだよ……。
知ってしまえば、同じことは言ってくれないかも知れない。
それでもこの日のことを、絶対に生涯忘れたくないと、強く願った。