結婚しても恋をする
「……自分でもこの気持ちがよく解らないんだ……。課長に見捨てられたみたいで怖くて、縋り付きたいような衝動に駆られる……」
淡い緑色のピスタチオのクリームにフォークを入れていると、反論が飛ぶ。
「いやいや……見捨てるのは課長じゃなくて郷ちゃんでしょ。郷ちゃんが灯梨を神みたいに崇めてるから、心の何処かで“私が何しても郷ちゃんは私が必要だから見捨てられないだろう”って思ってるんじゃない?
折角良い関係築いてるのに、性格的にも合わないおっさんと両想いになったってさぁ……これから生きてく上で大切な存在の旦那を裏切ってまですることじゃないかな」
清花の返事が引っ掛かり、ケーキから顔を上げ目を瞬いた。
「良い関係……? わたしと郷ちゃんが……?」
そんな風に映っているとはつゆ知らず、固まってしまった。
「灯梨が主導権握らざるを得ないのがきついんだとは思うけど、結局それでも郷ちゃんの優しさとか灯梨一筋なところに救われていると思う」
「……」
あの日の郷ちゃんの言葉、星空と歩いた景色が、脳裏に蘇った。