結婚しても恋をする

「体制替え?」

忙しない正月を終え、年始から程なくして沢崎課長より申し入れがあった。

「春からの事業計画の一環でね、今の地域ごとの担当制も残しつつ、エリアフリーで仕分け担当の受付チームを作ろうと思ってます。そのメンバーに、藤倉さんに入って貰おうと思って」

机上に提示された体制表に目を通し、現在に比べこれなら希望が持てるのではと、期待に胸膨らんだ。

「受付チームは出来る人じゃないと後の対応チームが共倒れになっちゃうから、他のメンツはリーダーを配置する予定で、今順に声掛けてます。あ、水川さんは含んでないから安心して」

後の地域担当が回らなくなる懸念はあるが、やってやれないことはないかも知れないと頷く。

「根本的な仕事内容は変わらないけど、より全体に目を配って、的確な判断力が求められる。これなら藤倉さんの次の評価アップも期待出来るかなって。尻拭いしてる感覚も減って来るだろうし」
「……なるほど、良いんじゃないでしょうか」

全くあり難い話だが、沢崎課長がそこまでわたしの仕事を真剣に考えてくれていたとは……?
相槌を打ちつつも口元に親指を当て勘繰っていると、あっさりと種明かしされた。

「……なーんて、これ宮内課長の提案なんだけどね」
「……えっ……」

出て来た名前に言葉を失っていると、続けられる。

「失くすには惜しい人材だし、人前に立ったりするのは苦手でも、抜群の仕事ぶりをより伸ばして行ける配置を……って。家庭と両立しながら、長く続けて貰えないかなって」

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