結婚しても恋をする
解ってる。これは仕事の一環だから。
言い聞かせるが、業務が立て込む中でも知らず知らず目が捉えている。
廊下へ出て行く姿が見えると、堪らず後を追い掛けてしまった。
「宮内課長……っ!」
驚いたような端正な顔が、振り返る。
何故呼び止めたのだろうと我ながら思いあぐねたが、やや乱れた呼吸を整え見つめ返した。
「……藤倉さん。どないしたん」
口を聞いたのは食事に行って以来で、途端緊張から身体が強張ったが、抑えようと左手を二の腕に添えた。
「あの……新しい体制のこと聞きました。……もしかして……わたしが相談したことも考慮して頂いたのかなって……ありがとうございます」
スマートな佇まいを崩すことなく、暫し黙っていた人が口を開いた。
「……約束したやろ。力になるって」
切り出された言葉に、声を失い立ち尽くす。
なぜ
わたしの心を掴んだその台詞を今──
「……同じポジションで仕事しとったら、1件の重みは同じような扱いになってまうからな。その上でズルされたら彼女より数をこなせてないような印象を与えてしまうから、明確に担当を切り分ければ仕事内容に応じた見方になってくる。他の連中が公平な見方してくれるようにとは、考えたんや……」
説明を続けていた課長がわたしの異変を察知したらしく、眉を歪めた。
「……おい……」