結婚しても恋をする
「……どうするの?」
「店、探す」
短く呟くと再びスマホを凝視し始める。
どうも腑に落ちず、心に厚くもやが掛かって行く感覚を抱いて、前の人を眺めた。
一体、何に対しての謝罪なのだろう。
わたしの機嫌をどうやって直すかの案は出してくれない。
こんな可愛くない女で居るのは、わたしだって嫌なのだ。
出来ることなら『過ぎたことは仕方ないから水に流すね!』なんて明るく振る舞いたいところだが、一言で良いから切り替えるための言葉が欲しいなんて、贅沢なのだろうか?
「……あ、もしもしー。すみません、今からって空いてますかねー。……あ、そうですか……」
電話を掛け始めた声を聞きながら、生気を欠いたように空間を目に映す。
今から楽しくするための具体的な提案は出来ないし、こうするのが良いと思うといった意志も提示出来ない。
今回もわたしがわたしの機嫌をどうして直すのか、考えなければならない。
「……そうですか、わかりました。失礼します」
溜息が零れ、頬杖を付き俯いた。
「……もうどうでもいい。帰っててきとーに食べる?」
3件断られたところで止めたのは、食事へ行ったからって楽しめるとも思えなかったからだ。
しかし郷ちゃんは、どういうわけか引き下がらない。
「……探す」