心をすくう二番目の君

冷や汗を流し背後の人物を振り仰いだ。
自信に満ちた力のある瞳に、身体を強張らせる。

「……射場係長……」
「さっき」

見下ろす刺さりそうに鋭い眼差しと、口元に浮かんだ不敵な笑みから紡がれる続きに、ただならぬ空気が漂う。

「目が合ったのに、シカトしたろ」
「……してません」

あんな会話が否応なしに耳へ入って、目を逸らさずにいられるものか。
わたしの心を知ってか知らずか、逃げ隠れを許さない容赦のなさ。
この人が紳士だとか言う外野の評価に、外面が良いにも程があると心で毒づいた。

公衆トイレの裏と人目に付きにくい場所ではあるが、前の人は一向に腕を放そうとしない。
こんな所を目撃でもされたらと気が気じゃなかった。

「つれないなぁ」
「……あの、誰かに見られるかもしれないので、離れて……」

言い終わる前に接近した瞳が、わたしの顔を覗き込んで来る。
酒が回っているせいかもしれない。その瞳は熱を孕んで潤んだように見えた。
見つめられて、背筋に迸った劣情に心乱してよろめいた。
掴まれていない左肘が、後方の壁にぶつかってしまう。

理性を呼び戻そうとゆっくりと目を瞬いたその隙に、唇が覆い被さって来た。

「……っ」

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