心をすくう二番目の君
胸を打つ彼の想いが、身体の隅々まで響き渡るようだった。
立ち尽くしたままで、口を突いて出る。
「春志」
会社の中だけれど、名前で呼んだ。
振り返った人は驚いたように目を見張ったけれど、少し首を傾げて柔らかく目元を綻ばせた。
「花澄」
どうした? と伺うような表情に、引き寄せられるように足を前へ踏み出す。
春志の繊細な顔立ちが目の前まで迫る。
衝動に突き動かされて、そっと喉仏に触れた。
首筋、頬、耳と触れて行く。
「……ちょっと……」
前の人がデスクに手を付き、寸分身を引いた。
振り絞るような声を漏らす。
「……誘ってんの……?」
狂おしそうに眉を寄せた顔は高揚して見えて、胸を掻き乱された。
そう取られても仕方なかったけれど、どうしようもなく触れたくなったのだ。
今この時、目の前にいる春志を、もっと感じていたかった。
互いに見つめ合ったまま動かなかった。
束の間だったのか、暫くそうしていたのか、時間の感覚が解らない。
春志のごつごつした手が、わたしの頬に触れる。
顎を上向かされ、覗き込んで来た整った瞳は、揺れ動いているように見えた。
緊迫した空気を纏わり付かせながら、徐々に顔を近付ける。
遠慮がちに唇を触れ合わせた。