心をすくう二番目の君

施錠をして、ビルを後にした。
歩を進めながらも、先程から頭を占めて離れない考えが膨らんでいた。

この人は、負い目を感じていないのだろうか。
わたしはセカンドだから、創一さんに対してはないかもしれない。
じゃあ、“ネミ”さんに対しては?

不意に紫夜の言葉が思い起こされた。

『ふらふらするような人は止めた方が良いよ』

──知っていた。
彼女とケリを付けないままに、わたしと関係を持とうとするこの人が、誠実とは言えないことは。


近くの中華食堂に入った。

「速くて美味いんだよ、此処。明日もあるし、あんまり遅くならない方が良いと思って」
「……そうだね。料理、楽しみだな」

カウンターに並んで腰掛け、笑って返しながらも、個室の店ではなかったことに胸を撫で下ろしていた。
楽しそうにメニューを眺める彼を、傍観するように目に映した。

この人の気持ちは透けて見えるのに、意図が読めない。
単にあまり考えていないのかもしれない。

自分が考え込むタイプであることは重々承知していた。
わたしが考え過ぎなのだろうか。

生まれた不穏な感情を、払拭出来ないままでいた。

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