心をすくう二番目の君
気恥ずかしく、はぐらかすように自販機に小銭を投入する。
「……落ち込んでるかと思ったけど、そうでもないか」
「……」
原因を知っているかのような口ぶりに、並んだ缶飲料に向けていた視線を声の方へ滑らせて瞠目した。
「それとも……あの人の結婚式がショック?」
「……なんで……」
知ってるの?
急に真面目な顔をして声を潜めた彼に、思わず眉を顰めてしまう。
訝しむわたしに前の人は続けた。
「さっき施工部に行ってたらさ、女性陣が話してるの聞いちゃって。小椋さん呼ばれてないんだ、って」
「……」
どうしてわざわざこんなことを伝えて来るのだろうかと、胸が痛んだ。
そこで自販機が点灯したままになっていることに気が回り、慌ててミルクティーのボタンを押した。
缶が落下する音と共に、意外な台詞が耳に届いた。
「結婚しても、まだあの人と会うの?」
ゆっくりと顔を上げると、眉を寄せた切なげな目元が飛び込んで来て、胸が締め付けられた。
なんで? 春志はネミさんと会うでしょう? これからも。
「……俺が言えた義理じゃないか」
呟かれた台詞に、疑念に対するひとつの答えが導き出された。
もしかして……嫉妬?
沈黙が訪れると、人もまばらな廊下の遠くから、誰かの電話で話す声が聞こえた。
彼は暫く黙った後、軽く頭を掻き毟って続けた。
「~~違う、こんなことが言いたかったわけじゃなくて……」