心をすくう二番目の君

「……もうすぐ誕生日でしょ。どう過ごすのかなって……何日なの?」

前髪を掻き上げたまま流し目を送って来た顔は、照れていた。
熱っぽい面差しに、胸が高鳴り始めてしまう。
要するに、誕生日を創一さんと過ごすかどうかの確認を取りたかったということ?
以前7月と話したことを、覚えてくれていたのかと嬉しかった。

「22日です……。今年は……特に予定、ありませんけど」

ちょっとだけ意地悪してみたくなって、そっぽを向いて唇を尖らせる。
黙していたかと思うと、スマホを取り出しカレンダーに目を落としているらしい。

「日曜か。……今年はって、去年は?」
「去年は……平日に、御馳走してくれました」

確か当日は土曜日で、金曜日から朝まで一緒に過ごした記憶がある。
泊まりのデートは数える程しかしたことがなく、当時は嬉しかったものだけど……。

「じゃあその役、今年は俺にさせてよ」

気まずく目線を逸らしていると、前方から耳に入って来た台詞に目を見張り振り向いた。

「平日じゃなくて当日。どっか行こうよ」
「それって……」

デート、ですよね??
目を丸くして顔を見合わせると、嬉しそうに表情を和らげた。

「行きたいところ、考えておいて」

一方的に告げると、離れて行った。
人通りが多くなって来たので、これ以上立ち話しているのも怪しまれそうだとは感じ始めていた。
染まった頬を押さえてしまい、わたしひとり益々不審だ。

思えば大体が強引に事を進められている気がする。
温い缶を握り締めながら、冷たい飲み物にすれば良かったと不貞腐れていた。

< 109 / 209 >

この作品をシェア

pagetop