心をすくう二番目の君
射場係長の結婚式当日も過ぎ去り、暫く姿を見掛けないままに6月も終わりがやって来た。
三澤さんの後に入る派遣社員の育成を担当することになった。
社員を目指すか否かに拘わらず、仕事の幅を広げて行かないと契約継続は見込めなくなる。
「CADの資格は取ったんですけど、実務は初めてなのでよろしくお願いしまーす」
外見も口調も若そうな女性だが、もしかしたら年上かも知れない。
ともあれ、取っ付きやすそうな人でひとまず安心した。
「新しい人どう?」
「飲み込み早そうです。続けてくれれば育って行くんじゃないかと」
毎日ではないが、時間が合えば春志と一緒に設計室を出る日々が続いていた。
水曜日なので、まだ明るい時間帯に駅へと歩を進めている。
この辺りは、そこまで会社から離れていない。社内の人間が通ることもあり得ると、言葉遣いには注意を払っていた。
地下鉄の入口が近付くと、唐突に彼が足を止めた。
「中薗さん? どうかし……」
不思議に思い隣の人を見上げると、前方を見つめて瞠目している。
行方を辿るもままならずに、先に明るい声が響いた。
「春志!」