心をすくう二番目の君

不意打ちを食らって、目を瞬かせた。
声の主はショートボブヘアの綺麗な女性で、弾けんばかりに顔を輝かせていた。

「……」

呆気に取られている内に、彼女が春志へと駆け寄る。

「……何してんの、お前……」
「へへ、来ちゃった」

満面の笑みを浮かべる女性に対し、春志は眉を顰めているように見えた。

「いつから此処にいたんだよ」
「そんな前じゃないよ。今日は遅くならない日かなって思って」

一層訝るように表情を歪めたが、わたしの存在を思い出したようにこちらを振り返った。
睫毛を伏せ僅かに目を泳がせてから、彼女に紹介した。

「同僚の小椋さん」
「……こんにちは……。中薗さんには、いつもお世話になってます……」

「……篠田《しのだ》寧実です。春志がご迷惑お掛けしてないですか?」
「そんなこと……寧ろわたしが迷惑を掛ける方で」

力なく挨拶を絞り出すと、予想通り春志の彼女だと判明した。
はっきりとした目鼻立ちで柔らかく微笑む顔も美しいが、何か押しが強そうな印象を受けた。
曖昧に笑顔を繕って返すと、彼が擁護するように言う。

「答えに困るようなこと言うなよ。小椋さん、気遣うだろ」

──嫌だ、この空気。

気まずく目線を落とすと、彼女の腕に巻かれている革のブレスレットが視界を過ぎった。

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