心をすくう二番目の君
近くのコーヒーチェーンに入り、ソファー席に向かい合って腰掛けた。
誰より表情を曇らせているのは、言わずもがな春志だ。
異様な状況を肌で感じつつも、彼女の質問攻撃に応じていた。
「へえぇ、作業着で現場に行くんですかぁ。似合わなさそ~」
隣の春志を肘で小突いている様が、苛立たしかった。
「案外、様になってますよ」
おざなりな受け答えをしながら、わたしは一体何をしているのだろうと、我ながら呆れた。
店へ移動している合間に、幾らか頭が冷えたようだ。
ネミさんの策略に乗ったりして間違いなく彼に煙たがられているだろうが、此処で逃げたら負けだとうっかり意気込んでしまったのだ。
平静であるはずはない心をおくびにも出さず、彼の伏せられた瞼から眼光が覗いたかと思うとソファから立つ。
ネミさんが何食わぬ顔で声を掛けた。
「どこ行くの」
「トイレ」
言い捨てて離れて行く後ろ姿を追いながら、まさかとバッグへ目線を滑らせたが、席に残されていた。