心をすくう二番目の君

わたし達ふたり取り残すなんて、仕返しされたのだろうか。
現況は巷で言うところの修羅場なのではと、気まずくティーラテを啜ると、前の人が脚を組み頬杖を付いた。
じっとりとこちらを覗う目付きは品定めでもするようで、身を隠したくなる。

「春志とどれくらい一緒に働いてるの?」
「……3ヶ月くらいです……」

彼氏が席を外したからか、出し抜けに敬語が取り払われて、面食らってしまう。

「短いんだ」
「……そうですね」

「私達もう10年以上付き合ってるの。家族ぐるみの付き合いなんだ」

臆面もなく、意味ありげな含み笑いを見せた。
返事がわからずに、無理に口角を上げ頷く。
じりじりと遠回しに打撃を与えられているような感覚に囚われた。

この人にわたし達の関係を疑われていることは間違いないだろう。
だからと言って、いつ現れるかも定かでないのに職場の最寄りまで押し掛けて来るなんて、常軌を逸している。
弁明しておくべきなのだろうか。しかし、何もないと言ってしまえば嘘になる。

「中学の卒業式に私が告白したんだけど。桜を観に行こうよって誘ったのが始まりだったな」

桜……?
投げられたワードから、不意に花見の席での彼の声が脳裏に浮かんだ。
何度か目を瞬いたのち、彼女に質問を返していた。

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