心をすくう二番目の君
「……どうしたんだ?」
一向に意に介さぬ様子で薄く笑って、床からそれを拾い上げた。
「…………イタリアに……行って来られたんですか……」
あろうことか新婚旅行の土産をわたしに買って来るとは思いも寄らず、あまりの無神経さに虫唾が走った。
加えて革のブレスレットとは、わたしの現状を知っていて嫌がらせして来たのかと思える程で、目眩でも起こしそうだった。
結婚を契機に関係を切られると企てていたのに、この男は更々引き下がるつもりがないと身に沁みた。
「……まだ、こんなことを続けられるんですか……?」
怖々口にすると、前の人は不敵な笑みを浮かべた。
その顔が空恐ろしく、身の毛がよだつようだった。
「『まだ』って? 俺は今も花澄を大切に思ってるし、これからも付き合って行きたいんだ」
「……付き合ってたんですか? わたし達……」
彼の口からその言葉が出たのは、初めてのことだった。
驕った瞳に見据えられ、呆然と佇む。
「付き合ってるだろ? 何言ってるんだ」
『何言ってるんだ』はこっちの台詞だと心で反論を唱えながら、こちらも初めての単語を口にした。
「……じゃあ、“奥さん”は……?」
「…………彼女だけじゃ、心が埋まらない。花澄が居てくれないと、俺は駄目だ」