心をすくう二番目の君
あまりの恥ずかしさに即座に口元を掌で隠した。
たちまち火照った顔を理解して、すかさず指の腹で拭い取る。
職場ではあまり派手な色を付けないようにしていたが、飲み会だからと気を緩めてしまった。
「……セクハラだったらまずいなと思ったんだけど……邪魔しちゃった?」
「…………」
ゆっくりとこちらへ向けられた顔からも、口調からも、心の内は読めなかった。
答えあぐねて、警戒心から反射的に眉根を寄せる。
「でも……射場係長の婚約者って……社外の人だって聞いてたんだけどな」
──勘付かれている。
限られた情報の中から、全てを悟られてしまったように思えた。
事態の恐ろしさに堪らず後退ると、コンクリートの溝にヒールが引っ掛かったらしい。
「きゃっ」
バランスを崩し倒れ掛けたわたしの腕を掴んだ指は、射場係長より細く、しかしきちんと身体を支えた。
中腰の体勢のまま、頭上の街灯に照らされる中薗さんを見上げた。
波立った心音が投影されているのか、影が落ちたその表情は何処か冷たく見えた。
「……解らないでもないよ。何かに縋り付きたくなる気持ちは」
「中薗さん……」
転ぶ前に助けてくれて、共感を示してくれて……。
優しさを湛えた物腰に惹き付けられて、目を離せずに暫し見つめていた。
もしかして、この人なら……。
淡い期待を描くも束の間、スマートフォンの振動音が響いた。