心をすくう二番目の君
目の前の見開かれた瞳が、不安気に揺らいだ。
全く動じていない振りをして、気を落ち着かせる。
「春志。他人事じゃないよ。こんな関係は……続かないと思う……」
ネミさんに知られてしまう可能性を示唆した。
抱き留められたことも、『良いんだ』と言われたことも、想定外だったがこちらに都合良く働いた。
困惑を表していた春志が、厳しい眼差しを見せる。
ぎこちなく右手を伸ばしたかと思うと、わたしの頬に触れた。
「……昼間……赤くなってた気がしたんだよね……」
まさか核心を突かれるとは思いも寄らず、目を見開き肩を震わせてしまった。
わたしの態度に確信を持ったらしく、目元に憤慨を顕にした。
「……殴られた……?」
「…………」
押し黙っていると前の人の顔が俯けられ、高ぶる動悸を身体に感じながら普段見ることの出来ない旋毛を心許なく見つめていた。
その左手が振り上げられて、咄嗟に肩を竦める。
握り締められた拳が壁を叩く音が、辺りに響いた。
その姿は全身で憤りを表しているようで、息を呑んだ。
「……けじめ付けるまではって、思ってたんだけどな」
ゆらりと持ち上げられた顔は、狂おしそうに眉根を歪め、憂いを滲ませていた。
心臓を揺さぶられ、身体の奥に熱が灯る。
わたしの頬を大きな掌が包み、痛みを漂わせた瞳が見下ろしている。
「……今、どうしても……花澄が欲しい」