心をすくう二番目の君

熱い目頭に力を篭めて、耐えた。
怖々と、春志の耳元に手を伸ばす。
爪先立ちして唇を寄せ、キスで応えた。

一度離れた唇を、追い掛けるように春志の唇が被さってくる。
肩を抱き寄せられると、纏わり付くように舌が口内を掻き乱した。
互いを絡め合い水音が耳を掠める。
求められる今を刻み付けたくて、シャツの背中にしがみつき皺を寄せた。

想像されたのだろう。
揉めている創一さんとわたしの姿が、遠くない未来に壊れるネミさんとの関係が──

溺れるようなキスを交わしながら、零れ落ちてしまった涙を彼は気付いただろうか。

それでもこの人には、彼女の存在がある。

薄いプリーツスカートの間へ滑り込む脚の感触に肩を跳ねさせながら、頭の片隅を過ぎらせた。

わたしの方は、もう何でも良かった。
とうに創一さんへの気持ちは冷め切って、ただ春志が欲しいだけだった。

全てが手に入らないなら……どう足掻いても、わたしのものにならないなら、このひと時だけでも、わたしだけの春志になるなら──

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