心をすくう二番目の君
目を伏せて言い切ってから、僅かに視線を滑らせその姿を捉えた。
うつけたような顔をして、身を竦ませているようだった。
「春志のこと試してたの。いつまで我慢出来るかなって。こうなったら射場係長と同じだもん」
春志が身体の関係に持ち込まないのであれば、わたしが誘導するつもりだった。
鞄を取り上げ、財布から代金を取り出しテーブルへ置く。
立ち去る段取りを整える振りをして、涙が溢れないよう耐えていると、背後から手首を取られた。
「ちょっと待って……本当に、それが本心なの」
後方から、冷ややかな声色が響く。
唇を噛んで、一度息を呑む。
「花澄」
勢いよく腕を引かれて、振り返ざるを得なかった。
もう笑みを作るのは難しく、険しい表情を見せてしまう。
せめて返事が震えないよう、気を配った。
「うん。大丈夫、今度はちゃんとわたしだけ見てくれる人探すから。じゃあね」
最後に目の中に飛び込んで来た顔は、眉を歪め酷く悲しげだった。
見ていられずに、その愛おしい手を振り払うように部屋を後にした。