心をすくう二番目の君
「かんぱーい」
紙コップを突き合わせて喉に流し込む。
夏の野外での生ビールは格別だ。
ぷはっと息をつき、爽快感を表した紫夜が笑う。
「一緒に祭なんて久々だよねー」
「ほんと、学生の頃以来?」
お互いにまだ大学生だった頃はよく出向いたものだ。
階段に腰掛け、フランクフルトを頬張った。
恋愛に現を抜かしている時分に、季節は格段に夏の色を帯びて、纏わり付くような湿気に汗が浮かんだ。
暫し手元の屋台料理を口に運ぶことに専念していたが、彼女が沈黙を破った。
「……多分、クズ男からまた連絡が来るんじゃないかな」
驚いて顔を上げると、至って真面目な顔付きでこちらを見ている。
「え……あそこまで言われて、連絡する……?」
「見くびっちゃいけないよ、あの手の男の執念を。これで引き下がるとは思えない」
「……」
遠くの方で太鼓や鐘が鳴らされ、周囲に響き渡っている。
「良い? 花澄。絶対に応じちゃ駄目だよ。好きな人ともお別れして、相当辛い日々が暫くは続くと思うけど、クズ男とは離れて生きて行くって決めたなら、戻っちゃ駄目」