心をすくう二番目の君
真摯な眼差しに、胸が熱くなった。
わたしを慮っての忠告だと身に沁みた。
彼女の背後に、連なる屋台の看板が映り込む。
湿っぽいわたし達と対照的に、店員も客も皆、活気付いている。
紫夜がショートパンツからすらりと伸びた腿に頬杖を付いて、独り言のように零した。
「男の人って自分から別れるって言わないよね。余程相手の女が迷惑とか、生活に差し障るレベルじゃない限り……」
静かな声を聞きながら、足元のサンダルから覗く、紅色のネイルを見ていた。
近いうちに迎えるだろう終わりを予想して、春志の心に刻みたくて施した色だった。成功しただろうか。
隣の人が、脇に置いてあった焼き蕎麦のプラスチックケースに手を伸ばした。
「……彼女と別れる前にあれこれして来たのは頂けないし……花澄の気持ちもわかる。あんなにズルズル流されてた花澄が決めたことなら、それも良いと思う」
箸を割りながら続けた。
「個人的には、好きな人とはまだ話し合う余地がある気がするけど」
言い切って麺を頬張り始めた人を観察しながら、前回会った際の彼女の台詞を思い起こしていた。
「『ふらふらする人は止めた方が良い』って……」
「うん、言ったけどー。話聞いてる限りでは、ハルシさん? は、浮気じゃなくて本気だったのかなって」
こちらに向けられた穏やかな顔が、僅かに眉を下げ笑った。