心をすくう二番目の君

程なくして、正社員登用決定の通知がなされた。
会議室で課長から書面を受け取り、事業所長からの講評を聞く。

「『……今後は更なる専門性を身に付けて頂き、設計室を引っ張って行くことを期待する人材である』とのことです。おめでとうございます。是非、頑張って下さい」


お礼を述べて、自席へと戻った。
何故か春志の姿を探してしまう。現場に行っているようで不在だった。

『真面目に続けてく意志があるなら、俺はサポートするよ』
そう言ってくれた日を懐かしく顧みる。
共に残業をして駅まで歩いた日々が、既に遠い昔のようだった。

「あっそれ……決まったんですよね?」

明るい声に呼び掛けられ顔を上げると、隣のチームの山川《やまかわ》さんが立っていた。
視線は手にしている書類に注がれている。

「はい。山川さんも?」
「そうなんです。一緒に頑張りましょうね!」

今回、共に正社員登用を受けたCADオペの女の子で、状況を同じにする人だった。
同期が居てくれるのは励みになる。

「小椋さん、目標設定しました? 測量士補受けますか?」
「そうですね……まずは士補がハードルとしてはまだ……」

山川さんの能力について詳しくは知らないが、苦笑いに同調した。
いつもひとつに纏められている髪はアレンジが施してあり可愛く、見た目で決めつけられないがとてもリケジョには見えない。
機械系の学校等を出ている人は設計士も目指せるかも知れないが、少なくとも今のわたしには到底無理だ。

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