心をすくう二番目の君

9月を迎えると、うだるような暑さは影を潜め、幾分過ごしやすい気候となって来た。

設計士からの指示を反復しながら、デスクで眉根を寄せていた。
本来は測量した内容に従って図面を起こすものだが、今回は現場調査前に基本図を上げなければならないらしく、いまいち設置場所が判然としない。
どうもわからないので、伺いを立てるべく置局さんの席へ向かった。

「有地さん、測量まだなんでアンテナ設置する場所教えて下さい」
「あぁ、コレねー……画面に地図開いて貰える?」

ディスプレイに日頃愛用しているネットの地図を表示させていると、大きな図体を折り曲げて覗き込んで来た。
調査から戻って間もないらしく、今は作業着だ。

「そういえば小椋さん、前も航空写真なぞって書いて貰わなかったっけ。道とか川とか」
「それ、わたしじゃないですけど……山川さんじゃないですか?」

確か花見の時にそんな話題で盛り上がっていたような気がする。

「そうだっけ」

年齢はそう離れてはいないにしても幾らか上のように見受けられるのに、なんとも良い加減な受け答えをする。
徐々にそんな有地さんのペースに乗せられているように思えて、ちらりと表情を窺った。

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